[書評]「アンバサダー・マーケティング」で自社のファンを戦力に変える思考を
ブログやソーシャルメディアが台頭し始めてからというもの、消費者が商品やサービスのマーケティングに対する影響力を強めていますよね。
ゆえに企業は、その消費者をマーケティングに活用すべく、インフルエンサーのような、消費者のなかでも特に影響力を持ったひとたちを起用するような活動をしてきました。
しかしながら、その消費者を活用したマーケティング全体を見渡してみた時に、売上に繋がる最も重要な消費者が誰であるのかが見えてきたと言います。
本書は、その最も大切な消費者が誰であるのか、そしてその消費者を探す手段、活用する手段を教えてくれます。今回は、AMNを通して本書「アンバサダー・マーケティング」を拝読する機会をいただいたので、その内容について少し共有したいと思います。
アンバサダーとは
アンバサダーとは、無償で、ほぼ永続的に、特定の企業、ブランドを支援したり、時には批判者から守ったり、擁護したりする人たちのこと。つまり熱狂的なファンの中でも、多くの人に自分が体験したことを積極的に広めてくれる人のことを指します。
これまではインフルエンサーと同じ枠で考えられてしまうことが多かったのですが、より純粋に特定の企業、ブランドを、永続的に広めてくれる人たちとして再定義されたものになります。
あのアップルも、そしてスターバックスも、このアンバサダーたちの協力なくしては、現在の地位を成し得ることはできませんでした。この熱狂的なファンを、自社の戦力にするにはどうすべきか、それを説いてくれるのが本書です。
身近な言葉に、顧客生涯価値(ライフタイムバリュー)というものがありますよね。この言葉、一般的にはその人、企業が生涯で直接取引をする価値のことを指しますが、実際には直接取引をする以外にも、顧客が売上に貢献してくれることもあるはずです。この目に見えにくい売上に貢献してくれる部分を見逃さず、どの層を大切にすべきかと考えるにも、本書は役立ちそうです。
アンバサダーが最も価値の高い顧客である理由
アンバサダーが最も価値の高い顧客である理由には、下記のようなものがあるといいます。
- 会社や商品を擁護する
- 平均的な顧客以上の金額を使う
- ブランドや商品をオススメする
これらの価値を数値化すると、一般の顧客の少なくとも五倍の価値があるのだそうです。
事実、私の祖父は典型的なソニー信者でした。身の回りのありとあらゆる家電を、生涯にわたりソニー製品一色にし、さらに自身の保有する大きな人脈ネットワークに対して、ソニー製品の啓蒙活動をしておりました。私も耳にたこができるくらい、ソニーという会社の成り立ちについて聞かされた覚えがあります。国家公務員という自分の立場から、起業家に憧れる部分もあったのでしょうけれども。
彼もまさに、ソニーという企業のアンバサダーであったわけです。
アンバサダーを自社の戦力とすることが企業の成長につながる
商品やサービスによって顧客の感動を創出することはさることながら、殊にアンバサダーの感動を創出する事こそが、企業の成長を促すのではないかと感じます。
私の祖父のように、オフラインだけの時代からアンバサダーに値するユーザーは存在していたのですから、その効果を飛躍的に大きくできるウェブを介してアンバサダーを活用することは、必須であろうと感じるわけです。
もしも、祖父がウェブを介して発信していたら、ソニーから感動体験を受けていたら、それは想像を超える利益をソニーという企業にもたらしていただろうと、容易に想像することができます。
ないがしろにされてきたこの側面を、体系化して力を入れていくという思想。これは大いに共感できるものがあります。
「アンバサダー・マーケティング」一読してみてはいかがでしょうか。
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