[書評] 「企業戦略としてのデザイン」は、ソーシャル化の本質を知れる1冊
アスキー・メディアワークス社よりご献本いただき、早速拝読させていただいたので個人的な書評を残します。
まず、この本「企業戦略としてのデザイン」で言う「デザイン」とは、綺麗だ、美しいなどの意味でのデザインではなく、「カスタマー・エクスペリエンス」、つまりユーザーへ「今までにない体験」をしてもらうための「トータル・デザイン」になります。
「デザインの本質とは何ぞや」と思うマーケッターや、「ビジネスとしてのデザインとは何ぞや」と思うデザイナー、そして何よりも「経営戦略としてのデザインとはいかにあるべきものか」を理解したい経営者の方が読むべき本と感じました。
顧客に愛される企業に共通する成功法則
何はともあれ、まず目次を見ていただきたいと思います。
- デザインは重要である
- あなたは必要だろうか?
- どうすればよいのか
- デザイン主導とは何か
- ブランドはロゴではない
- ポータルとしての製品
- 製品やサービスは人と語り合う
- デザイン主導の企業文化を築くには
- 前進せよ
この目次を見るだけでも、「綺麗だ、美しいなどの意味でのデザインではなく」と申し上げた理由が見えてくるのではないでしょうか。
日本の多くの企業、まだまだまっさらな状態のベンチャー企業においても欠けているところがほとんどである「企業戦略としてのデザイン」、それだけでなく、個人としてもこの点が足りていないと自分でも痛感する内容になっています。
得られるものは?
- 世間で何故ソーシャル化すべきと騒がれているかが理解できる
- 戦略として、デザインはどう位置すべきものか実例を交えて理解できる
- パーソナルブランディングのヒントも得ることができる
すごく個人的観点にはなりますがw これらに通ずるものがすごく伝わってくる内容であったと感じています。
本の特徴は?
- 異論反論ありつつも、その中で学びが多い本、思考させられる本
- 各項目においてドリルダウンされた実例を用いて解説されている
- ドリルダウンされた実例は良い例、悪い例、双方が取り上げられている
レクサスのハイブリッドですら「ひどい」と定義付けられるユーザー・エクスペリエンス。 壊れやすくてもなお愛されるBMWやNIKEなどなど。タイトルでアップルを強調するとおり、アップルからイメージさせるものも多くありますが、それだけにはとどまりません。
また、たとえばこの本ではWindowsを「必要とされるもの」と評していますが、私としてはLinuxベースのもの(Ubuntu等)がトータルデザインされてくれば、必要ないものに成り下がると感じています。
バージョンが進むにつれてユーザーが本当に求めているものから遠ざかる部分が多いというすれ違い、まるでポラロイドのそれを思い起こしてしまうような流れともいえてしまいそう。
そういったことを思考させられながら読み進められる内容となっています。
この本の読み方
超個人的なオススメですが、最終章「前進せよ」を見て、それから各項目を読むのがベストかと思います。
なぜなら、すべてにおいて事例がドリルダウンされているだけに、ボリュームが満点だからです。
とにかく顧客に愛される企業に共通する成功法則が実例を元に、成功談、失敗談、成功から失敗に転落した原因などを本当に掘り下げて解説されていて読み応えのある一冊だと感じます。
企業ではなく、個人としていかにブランディングしていくか思考したい人にも十分にオススメできる内容ではないかとも感じました。
今後さまざまなサービスのソーシャル化が進む前に、是非ご一読されてみては?
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